--森下さんの作品は色がとても印象的です。油絵の具でこの透明感、色彩感はどうやって出しているのですか?
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濃淡は色を乗せた後に消したり、比重の違う油で弾かせて透明感を出していきます。混色せずに単色だけで描きます。何層も色を乗せて混色も複雑なのが油絵の特徴ですし、学生時代はセオリー通りの油絵を描いていました。でも、卒業後も絵を続けていくために独自の油絵を見つけて行こうと模索したのが、混色をしないということで、それを続けています。
--色彩をチョイスするときの感覚やこだわりが知りたいです。
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色彩には興味があるので学生時代にカラーコーディネーターの資格を取り色の勉強はしました。絵の具は発色が良く透明度の高いものを選びますが、青系のものを好んで選びます。
例えばピンク色も青みが入ったものを選びます。あと、わたしは「スピード感」を大事にしていて、早く描くという意味ではなく、流動性があって次の瞬間には形が崩れるような、ある種の「瞬間」を捉えるような表現という意味なのですが、そういうことが現れるようにするのが絵の具を選ぶ際のインスピレーションです。
--なるほど。それを表現する絵のモチーフのインスピレーションについて教えてください。
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もともと雑誌が好きで子供のころからファッション誌を切り貼りしたコラージュを作っていました。田舎育ちで周りに遊ぶ場所が無かったせいもあるかもしれませんが、家の中で何か作る楽しさがありました。今はインスタグラムやSNSからヒントを得ることが多いです。人物や映画のシーン、風景、植物など選んだ画面を並べてみると、バリエーションのあるモチーフの距離感が等しく見えて、その表層的なものを作品にしています。
--子供のころから雑誌をコラージュとは凄いですね!ちなみに当時愛読していた雑誌は何でした?また影響を受けた作品や作家を教えてください。
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小学生の時はZipperでした(笑)自分の作品は自由度が高いので、敢えてあまり人の作品は観ないようにしていますが、王道なところではエゴン・シーレの画面のバランス感覚やフランシス・ベーコンの人物と背景のコントラストの作り方には惹かれますね。
スピード感とズレ
--描くときに大事にしていることは何でしょうか?
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ひとつは先ほど話した「スピード感」。1対1で画面と向き合うのは画面が重くなる。今の私にはスピード感がある絵がしっくりきます。あとは、一つの画面で完結させずに複数での関係性を築きながら自分の表現したいことを散りばめているので一つの絵では収まりきらないのです。私にとって作品は自分を構成する「ピース」で、情報のかけらなので複数枚の塊で伝えたいです。実際描いているときには自分のオリジナリティって数パーセントしか無いなぁと思うのですが(笑)、そのわずかなオリジナリティとインスピレーションを受けたモチーフ、つまり情報と結び付けて作品に昇華しています。下書きをせずに描くので、参考にしたモチーフと描いたものとの「ズレ」が私にとってオリジナリティだと思っています。
--描くときのパターンや順序があれば教えてください。
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下描きはしません。液晶ディスプレイで自分が気に入った画像を見ながら画面をスクロールする感覚で一発勝負的に描きます。
その一発感は、気持ちが乗らないときはどうでしょうか?
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上手くいかないときは消しながら、を繰り返してバランスを整えていきますね。気持ちが乗らないときでも手の動くままにしておくと却って良いのが出来ます。私の知らぬ間にも手は分かってやってくれますからとりあえず手を動かします。
絵を通して伝えたいこと
--個展についてお伺いします。CMYKというタイトルを名付けた背景を教えてください。
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CMYKとは色の表現で、シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック。私はモチーフのヒントはデジタル画面から得ることが多いですが、液晶ディスプレイの発色はRGB(Red, Green, Blue)ですよね。でもそれをそのままRGBで描くとちょっと違った。やはり私は色への微妙なこだわりがあって、しっくりくる色はCMYKに辿り着きました。これも私が思う「ズレ」の一つです。ディスプレイ画面で見る画像と出来上がった作品のズレ、想像と実際のズレがCMYKとリンクして構成していたら面白いな、と思いました。今回は、初挑戦でイエローとブラックも使います。しかもブルーブラックという、青系の黒です。
--個展で伝えたいことはどんなことでしょう?
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一つ一つが自分を構成するピースだから、自分を伝えたいと思います。できれば複数枚の塊で見て頂きたい。出来るだけ在廊をして色んな方と絵のお話しがしたいです。ルクアイーレはファッションビルなので、色々なタイプの方がいらっしゃる。そこも楽しみです。
--ご自身のこれからについて教えてください。
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絵を描くことを通して人と繋がり、一人ではできないことをやるなど、漠然としていますが決めつけずにどんどんとやっていきたいと思います。あと、「茅」という私の名前は草冠に矛(ほこ)という文字。以前ある人に、「一見弱そうだけど、茅さんは『ほこ』を持っているね」と言われました。自分にまだ自信が無いですが、この名前のようになりたいです。
DMOARTS Director’s EYE
--高橋ディレクターからみた森下茅さんとは?
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「僕は森下さんの作品は『編集』要素があると思います。編集を伝えるには情報が必要で、彼女の場合それが文字ではなく『絵』だと思いますね。そういう情報を構成する一つ一つが複数の作品から成る作品群だと僕はみています。こういうことも含めて観ている方々に伝わると良いな。」
ARTIST PROFILE
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森下茅 Kaya Morishita
2016年、京都造形芸術大学大学院芸術表現専攻ペインティング領域修了。主にネット上の画像をモチーフに絵画制作を行う。現代社会において自身がどのように情報を消費しているのかに着目し、キャンバスではなく紙に油彩というかたちで表現。DMOARTSより「ART OSAKA 2016」、「plus ultra 2016」、「Art in PARK HOTEL TOKYO 2017」等に出品。その他、HOTEL ANTEROOM KYOTOでの常設展示、KYOTO ARTLOUNGEグループ展への参加など。
https://dmoarts.com/artists/kaya-morishita/
協力
ARCHIVES
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森下茅 Kaya Morishita
2016年、京都造形芸術大学大学院芸術表現専攻ペインティング領域修了。主にネット上の画像をモチーフに絵画制作を行う。現代社会において自身がどのように情報を消費しているのかに着目し、キャンバスではなく紙に油彩というかたちで表現。DMOARTSより「ART OSAKA 2016」、「plus ultra 2016」、「Art in PARK HOTEL TOKYO 2017」等に出品。その他、HOTEL ANTEROOM KYOTOでの常設展示、KYOTO ARTLOUNGEグループ展への参加など。
https://dmoarts.com/artists/kaya-morishita/
自分なりの油絵と色彩